歯は人のもつ器官の中で最も硬い組織です。食事や会話だけでなく、外観などの見た目にも大きな役割を担っています。では、その歯がどのような構造をしているのを詳しくみていきましょう。
歯の分類
人の歯には切歯・犬歯・臼歯といった、いくつかの種類があります。
切歯
切歯は主に前歯と呼ばれる歯で、食べ物をかみ切ったり切断するのに使われます。また、口を開けると最初に見える歯なので切歯の色や形は見た目にも大きく影響します。
犬歯
犬歯は切歯と臼歯の間にある歯です。切歯と同じく食べ物をかみ切ったり知る役割がありますが、切歯と比べて歯根(歯の根)が長くより強い力を受けることができます。そのため、噛み合わせに大きな影響を与える可能性があります。また、切歯と同じく見た目にも影響を与えやすく生え方によっては『八重歯(やえば)』と呼ばれることがあります。
臼歯
臼歯は奥歯と呼ばれる歯です。食べ物を細かく砕いたり、すりつぶす役割があります。力が入る際に歯を食いしばることがありますが、臼歯が支えてくれることで力を発揮することができます。前歯や犬歯と比べて見た目に影響することが少なく、特に上の奥歯は見えにくくなっています。
歯の本数
人の歯は乳歯(子どもの歯)と永久歯(大人の歯)で本数が違います。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
歯の構造
歯は、エナメル質・象牙質・セメント質と呼ばれる硬い組織と歯髄という軟らかい組織からできています。
エナメル質
エナメル質は歯の表面にある組織です。人の持つ組織の中では最も硬く、ビッカース硬度で270~366HV、モース硬度で7の数値をもちます。(ダイヤモンドのモース硬度は10です)エナメル質はエナメル芽細胞から作られますが、歯が生えてしまうとエナメル芽細胞がいなくなってしまうためそれ以上作られることはありません。
象牙質
象牙質はエナメル質と歯髄の間にある組織です。歯の多くの部分は象牙質からできており、モース硬度はエナメル質より少し低い5~6となります。歯髄の中にいる象牙芽細胞が刺激されることによって、新たな象牙質が作られることがあります。
セメント質
セメント質は歯の根の表層にある組織です。モース硬度は4~5となり、骨のモース硬度とほぼ同じ値を示します。歯周組織にいるセメント芽細胞によって新たにセメント質が作られることがあります。
歯髄
歯髄は、歯の中心部にある血管や様々な細胞からできた軟らかい組織です。象牙質の中に細胞の腕を伸ばしていて、象牙質に刺激が与えられると痛みなどの知覚が発生します。また、歯髄は刺激を受けた象牙質の付近に新たな象牙質を作ることで更なる刺激から歯を守る役割もああります。